2024年3月16日土曜日

【月詠】焼きそばの稚魚(「塔」2024年3月号)

「塔」3月号が届きました。
noteの頃から引き続き、ブログでも掲載歌を記録していきます。


まず君が髪おさえたり地下鉄は風に引かれて走る乗り物

なんとなく持ち主に似てきたような君の洗濯物を干したり

キッチンという名の夜の川縁で放流せらるる焼きそばの稚魚

浮いているつもりであごを上げている山手線は流れるプール

坂道を流るる光を遡上する僕にも古い鱗の記憶

卓上のカレンダーもうめくられて星印まで一緒に待てり

「塔」(2024.3)


今回で若葉集が最後となり、来月からは作品2欄へ移ります。
巻末の若葉集を終えての卒欄エッセイも寄せております。

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