2024年5月11日土曜日

【日記10】同じ時代に〜『ストレンジオグラフィ』

5月5日、なぜか急に、仲の良かった人や、昔ずいぶん一緒にいた人、親、身近な人、友達、妻、最近知り合ったばかりの人も、あらゆる人たちと行きていく時間はズレていくものだということを思った。どんなに親しい人とも必ず別々の船であり、しかも互いの船の下にはさらに違う流れがある。今作っている短歌の連作のせいか、それとも、ただ暇なのか。様々な人の顔を思い浮かべ、また、会ったことのない人は名前を思い、同じ時代に生きていることをしばし喜んだ。

5月6日、初めて五島美術館に行った。東急線の上野毛駅にある。展示は「春の優品店 王朝文化へのあこがれ」と題して、平安時代の古筆などが並んでいた。中でも源氏物語絵巻 鈴虫一・鈴虫二・夕霧・御法の前ではたくさんの人が足を止め、列の流れはゆったりとしていた。美術館の裏手には庭園があり、木が鬱蒼として、思わず「雷神の少し響みて……」なんてやりたくなるような緑の世界だった。それで『言の葉の庭』を思い出し、さらに『秒速5センチメートル』を思い出した。少し前に実家に片付けに行った時、そのDVDがまだ自分の部屋だったところに残っていた。ある夜に新海誠の作品について歌友と喋ったことがあって、今の家に持ってこようか迷ったが、結局は置いてきた。DVDを観るのも、プレステを出さないといけないので一苦労なのだ。でもDVDがあることで、「持ってる」という感覚がある。サブスクの「いつでも観られる」とはまたちょっと違うが、それもまた「いつでも観られる」という感覚。それは、本が本棚にあって、いつでも開けるというのに近いだろうか。思い出が、作品にも、DVDという「物」にも等しく付いている。

5月8日、朝起きたら、文フリ香川抽選漏れのお知らせが届いていた。残念。抽選の結果が出てから飛行機のチケットやらホテルやらの手配をしようと思っていたので、なんとなく、夏の香川行きは潰えそうな予感。行ければ12年ぶりだった。とある歌集の批評会で知り合った歌人の方に、文フリ前日に歌会をやるからぜひにと誘っていただいていたことが心残り。その心残りが背中を押してくれたのだろう、ビックサイトに会場が変わるからと二の足を踏んでいた冬の文フリ東京に申し込んだ。そしたら抽選対象外で、すんなりと参加が決まった。

5月10日の夜、小津夜景『ロゴスと巻貝』の「本当に長い時間」という最後の章を読んでいて、なぜか管啓次郎『ストレンジオグラフィ』のラストを思い出した。なぜだろう。読んだのはもうずいぶん前で、内容もほとんど覚えていないのに、全く諳んじることもできないのに、ラストに少し似た雰囲気を持つ一節があった気がしてきた。本は今手元になくて、実家にあるはず。今度探して、答え合わせしてみる。

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