9月1日、本当は京都にいるはずだった朝。台風10号はまだ列島上空に居座っていて、東京も雨が降っては思い出したように雲が晴れ、また突然降ってはしばらくサウナみたいに無風、という日だった。天候は悪くとも、昨日も天候が悪くてずっと家にいたので、思い切って外に出た。
歌集を置いていただいている「フラヌール書店」さんまで出かけていった。面展にまでしていただいていた歌集は残り2冊となり、店主の久禮さんにお礼を言った。
そしていつものようにまた棚の前をうろうろと1時間超、迷いに迷って『ボイジャーに伝えて』を買う。
「I'm here.」
「I'm glad you are there.」
私はここにいる。
あなたがそこにいてよかった……。
おそらく本文の一節だろう。帯に書かれたこの短いやり取りに惹かれて決めた。
読んでみたら、これはカート・ヴォネガット『タイタンの妖女』からの引用で、あぁ、読んだはずなのに忘れてるなぁ、と思った。でも、ところで僕はいったいいつ『タイタンの妖女』なんて読んだんだろう。多分、20代の最初の頃。学生だっただろうか。きっと実家にはまだ文庫本があるはずだから、帰った時に持ってこよう。
帰りは地元の焼き鳥屋Sへ。早い時間から一杯やっていると、外が土砂降りに。雨上がりを狙って帰る。まだ明るい。
9月2日、打って変わって朝から晴天。風が少し涼しい。これは、秋だ。
「ちょっとだけ持っててくれる?」と渡されたカバンが重くてまた好きになる/小俵鱚太『レテ/移動祝祭日』
歌集の中の「ロトンヌ」という連作から。ロトンヌは仏語で秋。〈カバンが重くてまた好きになる〉って、説明しにくいけどとても分かる気がする。不意に持った相手のカバンの重さに、その人自身に触れたように感じるからだろうか。そういえば以前、サイゼリヤでビールのジョッキを頼んでいざ飲もうとした時、軽すぎて腕が天井を突き破るかと思うくらい上がって、肩がすっぽ抜けそうになったのを覚えている。ジョッキがガラスからプラスチックに変わっていたのだ。危うくビールを天井に飲ませるところだった。
9月3日、仕事帰りに父の顔を見にいって、そのあと母と飲みながら話す。
9月4日、空と風が秋。夕方に角川俳句賞の発表があり、短歌の方はまだかーとなる。多分台風の影響で、選考会が遅れたのだと思う。
9月5日、取り寄せを頼んでいた本屋さんから「小関茂『宇宙時刻』が入ってきましたよ」と連絡を受ける。嬉しくてすぐにでも取りに行きたかったが、週末か週明けには取りに行くことを伝える。
9月6日、徳島への移住を考えている人向けのセミナーに参加。今まさにしっかりと移住を考えているわけではないけれど、今の東京での暮らしを変えたいと思っていたところへ、徳島の「泊まれる本屋 まるとしかく」さんの内田さんがプレゼンターとして登壇されると知ったのが参加のきっかけ。初めて直接話せる機会があったので、歌集を置いてくれているお礼を伝えられて良かった。プレゼンの内容もとにかく良くて、面白くて、あぁ、自分でも生きていけるぞ、と思えた。
帰りは21時を過ぎていたので、駅前のスーパーで30%オフのシールを今まさに貼られたばかりのお弁当を買った。ラッキーだね。
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